IFCとは?

buildingSMARTは、建物を構成する全てのオブジェクト(例えばドア、窓、壁などのような要素)のシステム的な表現方法の仕様を定義します。これらの仕様をIFC(Industry Foundation Classes)と呼びます。アプリケーションで用いるプロジェクト・モデルのデータ構造も合わせて提示します。

buildingSMARTで定義されるこれらの「クラス」はIFCとして表記します。

I (Industry)
  :建設業界(Industry)
F (Foundation)
  :共有のプロジェクト・モデルの基礎(Foundation)
C (Classes)
  :合意のもとに構築するための共通な言語としてのクラス(Classes)

 

IFCで定義される「ドア」は、「ドア」を表現するだけの単純な線分の集合ではありません。「ドア」として認識できる特性を持ちます。
プロジェクトでは、様々なタイプの「ドア」が使用されます。ある「ドア」は幅900mm、またある「ドア」は幅1200mmというような場合、どちらの「ドア」も認識することができ、IFC仕様で定義されている「ドア」の共通の特性も持っています。「クラス」は、共通の特性を定義したもので、それに対してそれぞれの実体にあたるものを「オブジェクト」と呼びます。

IFC上の「オブジェクト」は、建設業界の各業種でプロジェクト・モデルを共有することができます。
建築家が設計した「ドア」は、他の業種の担当者も同じ「ドア」として扱うことができます。こうした共有によって、積算、設備設計、施工、施設管理でを効率を計ることができます。

IFCは、建設業界のソフトウェア・アプリケーション間のデータ共有化とその相互運用を可能にします。
ここでのIFC仕様書は、このソフトウェア・アプリケーション開発者向けに、オブジェクト指向プログラミングに基づくクラス・ライブラリを定義します。ある1つのアプリケーションで作成されるドア・オブジェクトは、他のIFC準拠のアプリケーションと情報を交換することができます。他のアプリケーションは、暗黙的にドア・オブジェクトを自動的に認識します。
つまりここでのドア・オブジェクトの特徴は、オブジェクト指向で表現すれば、つぎのようになります。

「自分はドアで、どのようなタイプのドアで、どのような材質で作られ、どのように仕上げられ、どのような操作で、どのような幾何形状で、どこがドアの上枠、縦枠、丁番そして敷居かということを認識します。」

他のアプリケーションは、これらの特徴を理解し、buildingSMARTで定義されたIFC仕様を使用して、オブジェクトに情報を付加することも可能です。

さらに、IFC準拠のアプリケーションにより、電子情報によるデータ(図面、レポートおよび仕様書などのような)を共有することを可能にします。これは、データの一貫性と整合性の保証を意味します。さらに、この共有データは、設計終了後の施工においても発展し続けます。設計者によって作成された情報は、知的で電子的なフォーマットにより、IFC準拠のソフトウェアを通して、施工や保守管理に利用されます。